『天路歴程 The Pilgrim's Progress』

★  今週は乱れに乱れていた書斎内の整理整頓という、西から太陽が昇っても決して
おかしくないほどの大事業に取り組んでいます。  来週末でも終わらないでしょう。

 

  そういう過程の中で、半世紀も前に学んでいたバイオラ Biola = Bible Institute
Of Los Angeles大学でのキリスト教教育学のノートを取り出して眺めてみました。
  極めて良心的で真面目なフッカー女史 Mrs. Hoocker が教師でした。
ノートには『天路歴程The Pilgrim's Progress』に関する頁が出てきました。

 

  日本ではほとんど知られていない文芸作品ですが、英語圏世界では、『天路歴程』
は、聖書に次いで、一番よく読まれている文芸作品だと思います。  しかし、英語を
母国語とする人でも、この本の正式題名をそらんじている人は、案外に少ないと思い
ます。 The Pilgrim's Progress from This world to That Which is to Comeです。
仮私訳で『この世から来るべき世に向かう巡礼者の進行』とでもなるでしょうか...

 

  英語圏世界でこの本は、ロビンソー・クルーソーとガリヴァー旅行記と共に、最も
多く読まれている作品です。  我が国には1886年ホワイト宣教師が翻訳しています。

 

  この寓意物語の著者はジョン・バニヤンです。  イギリスの説教者です。
1678年と1684年に発刊された2巻もので、人生の重荷を背負った「クリスチャン」と
いう一人の男が、ある本を読んで、自分の住んでいる町が神によって裁かれていると
知り、破壊の都市から、多くの苦難の旅ののち、天上の都市に辿り着く...という筋書
です。  第2巻では、破壊の都市に残された妻が、同じく多くの苦難を乗り越えて、
天上の都市に到着した...という筋書です。  英語圏では万人の書となっています。

 

  主人公の「クリスチャン」という名前がお気に召さぬとお考えになるのであれば、
「普通の人」とか「この私」などに置き換えて読んでもよいかと思います。
  主人公は、この世から神の国に到着するまでのあいだに、実に多くの切実な試練や
問題に当面しながら少しずつその信仰を強めて行くのです。  「キリストに似た者」
と変えられて行くのです。  ロマ書8章29節が示しているとおりです。

 

  「キリストに似る者」「キリストの心に近づきたく願う者」に創り変えられて行く
ということが神の私たちへの御旨である以上、私たちが神の国に到るまでには、実に
たくさんの苦悩や試練を乗り越える必要があるのです。  そのことで、私たちの心の
中にキリストの平安が宿り、聖霊が結んでくださる聖霊の実(ガラテヤ書5章22節)
を少しずつ神の時の中で体験することができるようになると、私は理解するのです。

 

★  コロサイ書1章27節には「Christ in you, the Hope of Glory」と書いてありま
す。  『あなたの中にいらっしゃるキリストこそ栄光の希望である』というのです。

  天上の栄光の国でイェスが主催される一大聖晩餐会の席に侍ることが我々の向かう
べき目的地であれば、イェスに似た者と創り変えられて行くことは私たちの目的だと
思うのです。  そのために、そこに到着するまでに、多くの試練や苦悩があります。
  『キリスト・イェスは御子であられたにもかかわらず、さまざまの苦しみによって
柔順を学び、そして、全き者とされたので、彼に柔順である総ての人に対して、永遠
の救いの源となられた...』と、ヘブル書5章8節は述べています。

 

  『これらの人はみな、信仰を抱いて死んだ。  まだ約束のものを受けていなかった
が、遥かにそれを望みて喜び、そして、この地上では旅人であり寄留者であることを
自ら言い表した』...とヘブル書11章13節は言います。

 

★  私たちは「旅人・宿れる者」です...『裸で母の胎を出て、裸でかしこに帰る者』
であり、『主が与え、主が取られる者』(ヨブ記1章21節)なのです。
「旅人・宿れる者」である限り、生きて行くということは、ほんとうにしんどいこと
です。  まして、神さまを信じて、この世を渡ろうとすれば、なおさらのことです。
『もう嫌だっ!  もう止めたい!』と叫びたくなるときもあるでしょう。
でも、大丈夫なのです。  神さまがそぐ傍にいつも居てくださっているのです。
旅人である限り、自分の家に戻らないかぎり、休みも憩いもあるはずがありません。

 

★  マタイ伝6章19節~34節のイェスの言葉を熟読・塾考するのもよいでしょう。
真っ赤に焼かれて、叩かれ抜かれた鉄からだけ、最高級の鋼が生まれます。
苦悩と試練に満ちた高原からだけ、神さまのための強い兵士が生まれて来ます。
私たちには馴染みの薄いバニヤンの「天路歴程」を読んでみるのもよいでしょう...